起立性調節障害

<起立性調節障害について>

起立性調節障害は OD(英語 orthostatic dysregulation)と略されます。
起立や座位で脳血流が減少し、不調をきたす体質で、自律神経のアンバランスが原因といわれています。

思春期年齢の10歳から16歳に多く、小学生の5%、中学生の約10%にみられ男女比は 1:1.5〜2 と報告されています。

自律神経は起きているときに優位な交感神経、寝ているときに優位な副交感神経がバランスをとりながら血管の収縮、心臓の拍動や収縮力を調整しています。

起立性調節障害の方はこの二つの神経のスイッチの切り替えが5時間くらいずれることから、朝起きられないなどの症状がでてきます。午前中に交感神経活動が活性化されず、夜間に交感神経が活発化するため寝付きが悪くなり、『宵っ張りの朝寝坊』になりやすくなります。
起き上がる、体の向きを変えるときにもこの切り替えがスムーズにいかないため、立ちくらみ、頭痛、腹痛がでることがが多いのです。

<診断方法>
安静時と起立時の血圧脈拍を比較する「新起立試験」が一般的で、当院では検査可能です。

<治療方法>

  1. 運動療法
    • 毎日の散歩程度の運動をすすめる。
    • たとえば1日15分の歩行など、毎日運動をする習慣をつける。心拍数が120を越えない程度の軽い運動(腹筋などの臥位でおこなう運動など)で良い。
  2. 動作開始時の注意
    • 起立時には、いきなり立ち上がらずに、30 秒程かけてゆっくり起立。
    • 歩行開始時は、頭位を前屈させれば、脳血流が低下しないので起立時の失神を予防できる。起立中に、足踏みをする。両足をクロスに交叉する。更に頭を前屈する。
  3. 規則正しい生活リズムのすすめ
    • 夜更かし、朝寝坊をやめる。昼寝をしない。難しいが、強制してストレスにならないようにその子にあわせて指導する。
    • 就寝1時間前までに入浴を行い、心身をリラックスさせ、身体が冷えないうちに睡眠をとる。
  4. 暑い場所は避ける
    • 高温の場所では、末梢血管は動脈、静脈とも拡張し、また発汗によって脱水をおこし、血圧が低下する。入浴は短時間。梅雨、夏場は注意。
  5. 下半身圧迫装具
    • 下半身への血液貯留を防ぎ、血圧低下を防止する装具(弾性ストッキングや、ODバンドのような加圧式腹部バンド)は、適切に利用すると効果あり。
  6. 食事・生活の注意
    • 塩分は循環血漿量を増やし血圧を上げるために必須です。
      食事やおやつを通じてやや多めの食塩摂取をすること。
      水分のみならず、塩分をとることが血圧を維持するために重要です。
      こまめに水分を摂取し、一日を通して2リットルほどの水分を摂取すると良いとされています。
    • 朝カーテンを開けて部屋を明るくすることで目覚めやすい環境を作ったり、血行をよくするため優しく体をさすってあげたり、血行をよくする効果のあるシャワーやお風呂を用意してあげたりすることも推奨されています。
  7. 薬物療法
    血圧をあげるお薬を使うこともあります。

 

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